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キャットゲッコー
-Aeluroscalabotes felinus-
キャットゲッコー(オマキトカゲモドキ)Aeluroscalabotes felinus (Günter, 1864) は東南アジアに分布し、化石研究によってトカゲモドキ科の中で最も原始的であるといわれている。現在は一属一種とされているが、遺伝学的研究では分岐が起きていることが示されている。形態的にも差異が見られ、今後の分類に期待。半樹上棲の活動に適応した、枝をしっかり掴める指先や尾を持っている。特にくるりと巻いた尾は特徴的で、枝に巻き付けて移動の支えにすることも可能。器用に動かすので観察が楽しい部分である。夜行性で、ジャングル奥の水場近くにて見られる。地表数十cmのあたりから、近辺を通る直翅類や蜘蛛類などを捕食している。
Günther, A. 1864. The Reptiles of British India. London (Taylor & Francis), xxvii+452pp.
マレーキャットゲッコー
"ブラックアイ"キャットゲッコー
Aeluroscalabotes felinus felinus
分布:マレー半島中部
眼の色は限りなく黒に近い茶色。胴体が長く、完全尾の背面には白斑模様が出る。流通量は少なくなく、認知度も高い。一昔前は輸入状態が悪く、死にヤモリとして有名だったが、近年は状態も良く飼育者人口はどんどん増えている印象。猫を冠するだけあって、愛嬌のある姿や動きに魅了される飼育者は多い。
基本的に流通しているのはキャメロンハイランド産であると推測できる。現に海外ではしっかりキャメロン産と明記されている。これほどまでに流通しているならキャメロンに行けばそこまで苦労なく見れるだろうとのことで現地へ赴いた。KLIAからバスで6時間かけて着いた先には期待通りの深いジャングルがあり、3泊での探索を行った。
しかし全く見つけることができなかった。おそらくキャメロンハイランドにおいてキャットゲッコーは広く生息しているのではなく、狭く多くの局所多産タイプなのかと推測する。ポイントに関してはオランアスリの方々が商売として保持しており、彼らの狩場でない場所を新規開拓することは容易ではないと思う。商品のメインは昆虫類であるが、キャットゲッコーなどの爬虫類も並んでおり、売ってくれるそうだ。
マレーキャットゲッコー
紀行
- Cameron & Genting -
それならばと、次の機会にゲンティンハイランドを2泊で探索することにした。ゲンティンは快適な施設が多い一方で、ジャングルへのエントリーが難しく、思うように探索ができなかった。キャメロンに引き続きこちらでも見つけること叶わず。予想以上に難しくて驚いたのだが、よくよく考えてみたらマレーシア遠征に行っている人はかなり多いのにキャットゲッコーを見たという声は全く聞かない。ポイント開拓のコツを知らない限り、相当難しい部類なのだろうという結論を得た。
そもそもハイランドは爬虫類が少なく、キャットゲッコーどころかホソユビヤモリの類なんかも満足に見ることができなかった。やはり南西諸島のような適当に散策していてもヘビやヤモリがボロボロ現れる環境とは程遠い。あまり見つけれるビジョンが浮かばないので、しばらくこのブラックアイを現地にて探すことは諦めることにした。他にも見たい生き物も多く、本タイプは普通に飼育もしているので。
ということでここからは少しだけ飼育の話。
虫に関してはかなり面白い土地であると思う。虫屋がこぞってやってくる理由もよくわかる。
上記の通り、流通量もあり、状態も悪くないため飼育はそれほど難しくはない。適当にゴニウロの環境などでも参考にしたらいいと思う。そこそこ食欲はあるようで、多少明るくても餌を見たら食べに出てくることも少なくない。立体活動ができるようなレイアウトを組んであげるのがいいと思う。流木なり人工蔦なり手に入れやすいもので良い。
ボルネオキャットゲッコー
"グリーンアイ"キャットゲッコー
Aeluroscalabotes felinus multituberculatus
分布:ボルネオ島
眼の色は深緑色。背に白線(白点)模様があるため、セスジオマキと呼ばれることもある。完全尾は竹のような節目が出る。流通量は少なめで、認知度は高くない。マレーより大人しめで、クセがある。可愛いよりは格好良い側の生き物。
ボルネオキャットゲッコー
紀行
- Sarawak -
基本的に日本で流通しているものはサバ産orインドネシア産だと言われている。ボルネオキャットはサバの方が背にくっきり白線が出て、眼の緑も濃い。一方でサラワクのは白点個体が多く、眼も黄緑味がある。クロイワトカゲモドキでさえ沖縄本島内の北部と南部で背模様の傾向が分かれているのだから、ボルネオ島内で同じように分岐していても不思議ではない。
ボルネオには淡水フグを探すという目的を第一に置きつつ、ついでにボルネオキャットゲッコーも見たいということでジャングルへ赴いた。
半樹上棲の通り、何かに掴まっている姿をよく見かけた。ただ、非常に林床の落ち葉に紛れる。かなり真面目に探していたつもりだが、結構見落としていると思う。なかなか日本のゴニの様には行かなかった。まぁそれもまた見つけた時の喜びが大きくなっていいのだけれども。
ホソユビヤモリやマルメスベユビヤモリ、トビヤモリなども同所にて見られた。正直、めちゃくちゃ楽しかった。2回このポイントには来ているが、他の目的を達成したらそのうちまた来たい。
ボルネオ(グリーンアイ)はキャットゲッコーの中でも最も野外で見やすく、筆者の知り合いも何人か見ることができている。しっかりポイントを見定めて根気良く探せば見れるといった印象だ。
飼育は一旦落ち着くと丈夫であるが、突然調子を崩して倒れていくことは珍しくない。他の個体は変わりなく元気であるのに突然1匹調子を崩すことは筆者も苦いくらい経験している。そしてリカバリーはかなり難しい。マレーより弱々しく、そしてクセが強いと感じる。あまり構わないで飼育するのがいいと思う。パタリと入荷が止まったりするので、いるときに手に入れるが吉。
"シルバーアイ"キャットゲッコー
分布:マレー半島南部
書籍などには記載があるため、知っている方は知っている第三のキャットゲッコー。眼は銀色。日本には2005年あたりに入荷したことがあり、2020年末にもポロっと入荷った。2度現地に赴き本当に必死に探したが見れていない。目下最大の目標。
"銀目"キャットゲッコー
紀行
- South Part-
シルバーアイの流通は極めて稀で、なかなかお目にかかれない代物である。2017年にマレーシアの友人に、国内で取引があったりするか聞いた時は最近1個体だけ愛好家がもう辞めるからと放出があったみたいだけど…と教えてもらい、ついでに価格も訊いたら目ん玉飛び出た。というわけで現地に探しに赴いた。
選んだフィールドはもちろん田舎の方。日本からの観光客なんてまず来ないらしく、日本人の若者が一人で来たうえに夜のジャングルにこれまた一人で行くとか拙い英語で言うので宿の人(同い年だった)には本気で止められた。でもこのために来たし、他の国でもやってるから大丈夫だと説明し、灯りもない夜道を自転車借りて7km先のジャングルまで毎晩通った。想像以上にツラかった(死が隣にあるとフと感じる瞬間もあり)のだが、アミメニシキヘビやルナートゥスネブトなど面白いものが色々見れてとても楽しかった。しかしキャットが出ない。3泊したのだが、全く見れなかった。ポイント選定は悪くないはずであるが、何かが足りない様だ。
もちろん一回で諦める事はなく、再挑戦。今度は時期をズラして同じポイントで3泊、さらに奥地で1泊をしてみた。しかし雨が全く降らず、途中から爬虫類も全く出なくなってしまった。時期の選定をミスってしまったと確信した。1泊した奥地はかなり期待できる場所であったので、良い時期にまた来れば見れるんじゃないかなと。そもそもホソユビヤモリやマルメスベユビヤモリは出てるので、本当に条件次第感。この状況が落ち着いたらしっかり雨季乾期見極めて、3度目の正直を決めたいところ。
シルバーアイは入荷がかなり昔だったことから、存在を知らないキャット飼育者がほとんどだった様で、2020末の入荷で何これと騒ついてましたね。価格も高い高い言われてましたが、15年前の価格や、3年前のマレーシア内での取引価格に比べたら個人的にはこんなもんじゃない?って感想です。
ちなみにそもそもシルバーアイってどんなキャットゲッコーなの?と思う飼育者も多いと思う。形態的にはマレー(ブラックアイ)とほぼ同じであるが、虹彩に白斑が入る集団をシルバーアイと呼ぶ。白斑は地域差か個体差かはわからないが、ほとんど黒からほぼ真っ白まで大きな差がある。個人的には地域差と考察している。つまりマレーとボルネオみたいな大きな形態差はなく、本当に楽しみはマレーの眼の色違いというだけである。
"Bアイ"キャットゲッコー
分布:諞カ貂ャ縺ョ蝓
まだ表には出ていない。憶測の域である第四の…。現地には赴いているが、まだ夜にここで探索できていない。
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